Web2.0とWeb2.0的サービスの違い

厳密に言うとWeb2.0とはGoogle,Wikipedia,YouTube,Liveなど多数のWeb2.0的サービスの集合体で成り立っている。これらのサービス間にはパワーバランスがあり、提供しているデータの量と質によって依存関係が自然に決まっているのである。つまりWeb2.0とはこれらサービス群がパワーバランスのもと複合的に存在する空間を指しているのである。ユーザーにとってはこれらのサービス群を自由にクロールした結果得られる体験がWeb2.0になる。今後Web2.0がどのような形で発展するかという観点でみると、世界中のデータを集めた巨大なデータベースとして機能する方向に進化することは間違いない。データベースといっても従来の概念とは違い、極度に分散された無数のデータをゆるい連携で束ねるものになる。このゆるい連携はユーザー参加型で実現されるものであり連携パターンはひとつではない。いくつかの代表的なパターンと無数のサブパターンで構成されるだろう。代表的なパターンはサービス提供者が予め用意するが、残りの部分はユーザーにまかせることになる。つまりRDBのリレーションとは全く異なる概念である。また今日主流である検索エンジンだけで解決できるものではない。実は最先端の取り組みが行われているのはこの部分であり、答えはまだ誰も見つけていないのである。
現時点でわかっていることは、Web2.0Web2.0的サービスがコアコンピタンスとして提供しているデータをユーザーが自由に操れる場という方向に向かうであろう。一方でユーザーにとっての利便性を向上するために特定目的検索や地域特定検索にはじまり、パーソナライゼーションなどのもっと細かなコンテキストに沿った情報操作を可能にする方向にも向かっている。自由と便利さは時に相互矛盾するが、最終的にはユーザーが快適だと感じるバランスに落ち着くものである。そのバランスを保つ方向にWeb2.0的サービスは進化するのである。
表題に戻るが、なぜこの違いが重要かというとどちらを対象にしているかで観点が異なるのである。しばしばこれが混同されているケースが見受けられる。例えば"Data is the Next Intel Inside"はWeb2.0的サービス(Amazonなど)に適用される言葉であってWeb2.0に適用する場合には"Metadata is the Next Intel Inside"と言わなければおかしい。

What UserID really means?

UserIDは通常Authenticationに必要な機械的情報を意味する。しかしUser Centricなサービスを実現するには、Userそのものを表す情報が必要となる。以下が私の考えるID情報である。つまりWeb上で個人を形成するアイデンティティそのものだ。
・名前,性別,住所などのプロファイル情報
・口座や商品の送り先など、購買・支払に必要な情報
・友人、趣味、所属するチームなど私生活に関する情報
・職業、勤務地、メンバー航空会社など仕事に関する情報
・購買履歴などライフスタイルに関する情報
これらIDをセキュアなストレージに格納し、許可されたサービスプロバイダーのみがその情報を参照してPersonalizeされたサービスを提供するようになる。4-5年前にHailStormで試みたことがここ2-3年で起きるであろう。当時との違いはSNSなどのコミュニティの存在が大きくなっていることだ。つまり個人対サービスだけでなく、コミュニティに属した個人に対してサービスを提供するというモデルを考えなければならない。これはPersonalizedだけでなくContextualなサービス提供が求められることを意味する、非常に大きな違いである。

SaaS in Enterprise / Consumer

SaaSにはLOBアプリケーションのSaaS対応とConsumer SpaceにおけるSaaSの2種類あって、それぞれ若干要件が異なる。LOBのSaaSASPとの明確な区別がつきづらい。Consumer向けSaaSはBlog,SNSに代表されるようなNew Application Scenarioである。今後はCommerce,MediaのSaaS化が促進されるのでこのマーケットは面白い。