Software Factoriesによるソフトウェア資産の価値向上

Software Factoriesは複数の似通ったアプリケーションを構築する場面で最大の効果を発揮する。システムインテグレータの観点で言えば、複数の顧客向けにシステムを提供する際に毎回一から構築を行うのではなく、部品を組み立てて製品を完成させるというファクトリーのアプローチを採用することでビジネスとして成り立つわけである。多かれ少なかれこのようなアプローチはすでに取られていると思うが、汎用的なフレームワークに頼りすぎているきらいがある。会計・人事・購買などのドメインごとに予め再利用性の高い資産(アーキテクチャ開発プロセスモデリング環境、モデル、フレームワークコンポーネントスキーマなど)を構築し、それらを組み合わせることで従来と比較して圧倒的に高い効率・品質でシステム構築を行うことがSoftware Factoriesを導入する価値だといえる。
一方エンドユーザーの観点で言うと、ベンダーやコンサルタントと協力して自社向けのプロダクトラインを構築することで情報システムの全社的な構築・運用に関する競争力を得られるという利点がある。プロダクトラインを構築するには業務の知識が不可欠である。エンドユーザーのスタッフは業務をその可変性も含めてモデル化し、将来にわたり情報システムの資産を価値の高いものとして維持することが重要な仕事だといえる。